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元魚屋の水産コンサルタント 現在:陸上養殖家
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「ウニ嫌いでも食べられる」は本当?シラヒゲウニの味の特徴と上品な甘みの秘密

「ウニねぇ、あの独特の生臭さや苦味がどうしても苦手……」

そんなウニ嫌いな人にこそ、ぜひ一度試してほしいのが「シラヒゲウニ」です。

巷ではよく「シラヒゲウニなら美味しく食べられた!」という声を耳にしますが、それは単なる個人の好みの問題ではなく、明確な科学的根拠(アミノ酸のバランス)に基づいているのをご存知でしょうか?

今回は、沖縄などの南国を代表するシラヒゲウニの味の特徴や、ウニ嫌いをも虜にする「上品な甘み」の秘密を、実際にシラヒゲウニを養殖している私が体験したことや、公的な水産研究データや科学的視点を用いて徹底的に解説します!


1. シラヒゲウニとは?南国・沖縄を代表するウニの特徴

シラヒゲウニ(学名:Tripneustes gratilla)は、日本では主に沖縄県や奄美群島などの温暖な海域に生息しているウニの一種です。

本州の市場で広く流通している「ムラサキウニ」や「バフンウニ」が黒や茶色っぽいトゲを持つのに対し、シラヒゲウニはその名の通り「トゲに白いひげのような模様」が混ざっているのが大きなビジュアルの特徴です。(赤いトゲをもつ個体と白いトゲを持つ個体がたり、模様も様々で個体差があります)

色は違いますがどちらもシラヒゲウニです

地元では古くから定番の高級食材として親しまれてきましたが、近年は環境変化(磯焼け等)や乱獲により天然モノの漁獲量が激減しています。現在は地域ごとに厳しい漁獲規制や禁漁期間(場所によっては完全禁漁)が設けられており、市場では非常に希少価値の高いウニとなっています。


2. 科学で判明!シラヒゲウニが「上品に甘い」アミノ酸の秘密

シラヒゲウニの最大の魅力は、口に入れた瞬間に広がる「爽やかで上品な強い甘み」です。 なぜこれほどまでに甘みが際立つのか、その理由はウニの食用部分(生殖巣)に含まれる「遊離アミノ酸(ゆうりあみのさん)」の組成にあります。

水産化学の世界では、ウニの味(呈味成分)について長年研究がなされており、以下のアミノ酸のバランスが食味を大きく左右することが分かっています。

  • グリシン:爽やかでスッキリした強い甘味
  • アラニン:コクと深みのある濃厚な甘味
  • グルタミン酸:昆布などにも含まれる「旨味」

シラヒゲウニの成分分析を行った水産研究によると、シラヒゲウニの身には、この「人間の舌が直感的に『甘くて美味しい』と感じるグリシンとアラニン」が非常に豊富に含まれていることが実証されています。特にシラヒゲウニは他のウニと比べてもグリシンが豊富と言われています。

一方で、ウニ特有の「苦味」の原因となるバリンやメチオニンといったアミノ酸の割合が強すぎないため、雑味のない非常にクリアな甘みがダイレクトに際立つのです。のため、雑味のないすっきりとした上品な甘みがダイレクトに際立つのです。


3. なぜ「ウニ嫌い」の人でも美味しく食べられるのか?

一般的なウニが苦手な人が挙げる理由は、主に「独特の磯臭さ・トゲトゲした不快な苦味」や、身崩れを防ぐ保存料として使われる「ミョウバンの渋み」です。

シラヒゲウニがウニ嫌いでも食べられる理由は、この2つの弱点をクリアしやすい特徴を持っているからです。

① 苦味アミノ酸の主張が少なく、後味がすっきりしている

ウニの種類や成熟度(産卵期の後など)によっては、不快な苦味を感じるアミノ酸(バリンなど)が過剰に増え、これがクセや生臭さとして感じられることがあります。
しかしシラヒゲウニは、元々クリアな「甘味アミノ酸」がベースの多くを占めているため、ウニ特有の強すぎる磯臭さや後味の悪さがほとんどありません。スッと溶けるような優しい味わいなので、ウニが苦手な人でも驚くほど食べやすいのが特徴です。

実際に育てているシラヒゲウニをウニ嫌いの方が食べたことがあり、「このウニなら食べられると太鼓判を押してくださいました」

② ミョウバン(保存料)による苦味から解放される

市場に出回る多くの生ウニは、形をキープするために「ミョウバン水」に浸けられますが、これがウニ本来の味を損なう原因(渋みや独特の薬臭さ)になります。

ウニについて以前書いた記事があるのでこちらも参考にしてください。(こちらの記事では無添加のウニだから美味しいということは書いていません)

美味しいウニの選び方と種類の違いを簡単にまとめてみました。
ウニの種類って?赤と白って?ウニの選び方は? 種類は色々!悪いウニを選ばないためにも美味しいウニを食べるためにも簡単にまとめてみたので参考にしてみてください。


シラヒゲウニは主に現地消費です。養殖が盛んになってきましたがまだまだ本州などで出回ったりは少ないです。獲れたて・殻付きの新鮮な状態で沖縄内で流通することが多いため、ミョウバンを使用しない「完全無添加の生ウニ」を食べるチャンスが非常に多いのです。これが「ウニってこんなにクセがなくて美味しかったんだ!」という感動に繋がっています。

個人的にはウニのミョウバンは悪だとは思っていません。元魚屋としてはウニの形を保ったまま流通させるためには必要なことで多くの方にウニを安く楽しんでもらうためには大事なものだと考えております。ミョウバンを感じないくらい極少量使ったウニなどもあります。


4. エサで美味しさが変わる!「養殖シラヒゲウニ」の科学的な裏付け

シラヒゲウニの美味しさは科学的にも証明されていますが、前述の通り、天然モノは手に入りにくくなっています。そこで今、沖縄県をはじめとする各地の水産試験場や民間企業で強く推進されているのが「陸上養殖」の技術です。

ウニの味や身の入り方は、実は「何を食べて育ったか(給餌内容)」によって劇的に変化することが水産研究で実証されています。例えば、国内の水産技術センターが行ったウニの食味改善試験では、以下のようなデータが報告されています。

規格外キャベツなどの未利用資源を一定期間給餌したウニは、生殖巣(身)の発達が確認され、甘味成分である遊離アミノ酸(グリシン等)の含有量が高まる傾向がみられる。
(参照:神奈川県水産技術センター研究報告 第13号, 2019「未利用資源(キャベツ)を給餌したウニの身出し・食味改善試験」より要約)

上記のデータはムラサキウニを使ったものですが、現在行われている陸上養殖シラヒゲウニでは、この科学的知見を応用し、ウニが好む特別なエサを配合して育てる試みが進められています。

  • 天然を超えるほどの甘み:エサの調整により、ウニの甘み成分(グリシン等)を増加させることが可能。(日々私たちも色々な餌をあげて実験しております)
  • 徹底した品質管理:掃除や給餌のコントロールがしやすい陸上水槽で育てるため、「品質のバラつき」が少なく、常に高品質をキープ。
  • サステナブル:廃棄される予定の野菜などを餌に代用し、海の生態系を傷つけず、ミョウバン無添加の最高に美味しいウニの身を作れる。

このように、科学的なアプローチによって進化を遂げた養殖シラヒゲウニは、「ウニ嫌いな人」の常識を覆す次世代の食材として大きな期待を集めています。


5. まとめ:一度は試してほしい、南国の優しい海の恵み

「ウニ嫌いでも食べられる」という噂の裏には、甘味アミノ酸が豊富に含まれているという、シラヒゲウニならではの明確な科学的理由がありました。

もしあなたが「美味しいウニに出会ったことがないだけかも……」と思っているなら、ぜひ一度、濁りのない上品な甘みを持つシラヒゲウニを試してみてください。これまでのウニのイメージが、ガラリと覆るはずです。

私が育てているシラヒゲウニをInstagramで見ることができます!お問い合わせもお気軽にどうぞ!

https://www.instagram.com/kunigami.umibudou?igsh=MXE0aWRkNDQwb3AyNw%3D%3D&utm_source=qr


📌 参考文献・データ引用元

  • Yu-Chun Chen, Tai-Yuan Chen, Tze-Kuei Chiou, and Deng-Fwu Hwang. Journal of Marine Science and Technology. Seasonal variation on general composition, free amino acids and fatty acids in the gonad of Taiwan’s sea urchin Tripneustes gratilla ,December 2013, 21(6):723-732
  • 沖縄県水産海洋技術センター (2021). シラヒゲウニ陸上養殖技術開発試験. 沖縄県水産海洋技術センター事業報告(令和2年度), 45-48.
  • 臼井一茂 (2019). 未利用資源(キャベツ)を給餌したムラサキウニの身出し・食味改善試験. 神奈川県水産技術センター研究報告, 第13号, 1-6.
  • 日本水産学会 編 (各種論文). 日本水産学会誌 (Nippon Suisan Gakkaishi) におけるウニ類の遊離アミノ酸組成および呈味成分に関する研究成果.

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